君の香りがする

 

side:受

 

目を覚ますと、美味しそうな匂いが鼻を擽る。

(・・・・・・卵焼き)

くんくん、と鼻を動かして匂いの元を当てる。

たった数日なのに、久しぶりと思わせるこれは・・・何だろう。

枕に顔を押し付け、スゥ――――と思い切り吸う。

 

(―――ぁ)

 

この匂いは・・・・・。

恋人の香りにうっとりとしてしまうそうで困る。

けれども、口の端が自然と上がるのは仕方ない。

いつもの日常がこんなに幸せだと感じるとは。

恋人の匂いを嗅いでいて、気付く。

(俺って・・・実は変態?)

匂いフェチでもないはずだが、今はこの匂いを嗅いでいたい。

自分の匂いも一緒がいい、なんて。

そう思えるくらい、匂いを堪能した。